一年3

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「それは自業自得だろ。サボろうとしたお前が悪い」  佐々木が高屋に指を向けた。 「頼むって、な。今度ジュースぐらいは奢るからさ」  高屋が懇願するように顔の前で両手を合わせている。 「どうする?」  佐々木は由利の方へ向き直って訊いた。 「あたしはいいよ。特に用事もないしね」  それを聞くと、高屋の顔がぱっと明るくなった。 「上本は優しいな。佐々木も見習えよ」 「何を急に偉そうにしてるんだよ」  佐々木が言った。高屋に言うというよりはひとり言に近かった。  そして、その言い方は怒っているわけではなく、始めからそうなることが分かっていたみたいだった。  そのやりとりが可笑しくて、由利は思わず顔をほころばせてしまう。  それに気付き、はっとするが、幸い二人には見られていなかった。 「どれぐらいお前に付き合えばいいんだ?」  佐々木が訊いた。 「あと三十分ぐらいかな。ほら、あそこに見えるだろ。みんなが一列に並んでるの」  高屋が窓の外のグラウンドを指差した。  指差した先には野球部の練習着を着た二十人ぐらいが姿勢よく一列に並んで監督を前に立たされている。  あれには何の意味があるのだろう。  佐々木はその様子をじっと見て何かを思案しているようだった。  そして、高屋の方へ視線を戻し、「あの説教の原因はお前じゃないのか?」と言った。
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