一年3

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「ほんとだ。へえ」  由利は真剣な眼差しで佐々木の両手を見比べていた。  百円玉ばかりに目がいっていたので、これほどまでに見事に盲点を突かれると心地よさすら感じた。 「何だ、くだらねえな」  高屋は悪態をついた。  確かに種明かしをされると肩透かしを食らったようになるが、ほとんどのアマチュアの手品なんてそういうものだろう。  それでも、それを見抜けなかったのがよほど悔しいのだろう。 「だから始めに大したものじゃないって言っただろ」  高屋が、ふんと言って窓の外を見ると、あっと声を出した。 「もう説教が終わったみたいだな。じゃあ、俺はそろそろ行くとするかな。じゃあな」  高屋は鞄を持って教室を出て行こうとした。 「ジュース、忘れるなよ」  佐々木が出て行こうとする高屋に言った。 「何のことだっけ?」  満面の笑顔を見せて、高屋はそのまま教室を出て行った。  そして教室には由利と佐々木の二人きりになった。 「じゃあ、俺たちも帰ろうか」  佐々木が由利に言ってきた。  そうだね、と由利が言って二人で教室を出た。
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