一年3

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「そういうものなのかな」と曖昧な返事をされた。  男である自分にそういうことを言われても困るというのが伝わってきた。 「そういう意味では佐々木君ってミステリアスな雰囲気を持ってるよね。手品がよく似合うよ」 「それは褒め言葉なのかな?」  佐々木は困ったように首を傾げた。  どういう反応をすればいいのか分からないのだろう。 「さあ、どっちだろうね」  由利はからかうような笑みを浮かべた。 「学校では高屋君以外と話してるの見たことないよ。何となく不思議な雰囲気があって周りなんて気にならないって感じがする」 「そんなこともないと思うけど」  実際はよほどのことがなければ高屋以外と話はしない。  意図的にそうしているわけではないみたいだが自然とそうなっていた。 「まあ、そう見えないこともないのかな」 「だから今日は意外だったよ。普段、二人でどういう会話をしているんだろうって気になってたんだ。佐々木君と高屋君って全然タイプが違うのに何で仲がいいんだろうって。でも、意外と普通の会話をするんだね」  わざわざそんなことのために残っていたのかと呆れたような顔をされた。 「俺だって普通だよ。あんまりみんなと仲良く出来ないだけで。と言うか、絶対褒め言葉じゃなかったよね」  佐々木は苦笑して言った。
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