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「それを言えば、世界中の人がそうなっちゃうんじゃないの? 人類、みな兄弟みたいな」
「いや、それは違うと思うよ。だって絶対に生理的に受け付けないって奴だっているわけだし、そういう奴はどこにも重なり合う部分がないってことだと思う」
こんな話を聞いていると、佐々木の中には独自の世界観が築かれていて、それがあの不思議なオーラとして纏わりついているのではないかと思った。
そして佐々木が見ている世界と自分が見ている世界は同じものだとは到底思えなくなってくる。
ふと気になったので「二人は何で仲良くなったの?」と訊いてみた。
確か、佐々木と高屋の出身校は違うはずだし、高屋は野球部で佐々木はどこの部活にも属していない。
共通項が見つからない。
佐々木は入学当初に起きたひったくり事件を話してくれた。
後で知らされるが、その事件については二人とも他人に話したことがなかったらしい。
佐々木によると秘密にしようとしていたわけではなく、それでも自分から他人に話すと自慢話のようになるので積極的に話そうとはせず、結果としてそうなっただけだということだった。
気が付くと、図書館の前まで来ていた。
佐々木が立ち止り、「俺、図書館で勉強して帰るから」と言った。
「へえ。いつも図書館で勉強してるの?」
「うん、まあね。静かだし、集中出来るから」
「そうなんだ。じゃあ、がんばってね。また明日、バイバイ」
そう言って二人は別れた。
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