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「今から俺たちはどうすべきだろう?」
興奮した面持ちで高屋が言う。自分が怪我を負わされているのに本当に楽しそうだ。
「どうするも何も、今は静観するしかないだろ。とりあえず、お前が警察に届ける気がないなら、今日はいつもと違う道から帰った方がいい。朝はあの事件の犯人と間違われたんじゃないかとか言ったけど、あれは冗談だよ。普通に考えれば制服を着た高校生を犯人と間違えるわけがないし」
的外れに思っていた最大の理由はこれだった。
車を使用している犯行なのに高校生が犯人である可能性は極めて低い。
女が何かされたというだけで、強姦事件と結び付けるのは短絡的過ぎる。
「あの事件とは関係ないかもしれないが襲われたのは事実だ。何もしなかったら、何も分からないままだろ」
高屋が食ってかかってくる。
「何も分からないのに何をするんだよ」
「何も分からないからこそ何かしなきゃダメなんだろ」
「だからまずは、お前が狙われたのか、それとも誰でもよかったのかを見極めなきゃいけないだろ。そのためにはしばらく様子を見なきゃいけないんだ。もしお前が狙われてたなら、その時はどうするか考えよう」
高屋は少し不満げな様子で何かぶつぶつ言っていたが、最終的には渋々納得したようだった。
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