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そして佐々木は一番気になっていたことを聞いてみた。
「それで、お前を助けてくれた人はどんな人だったんだ?」
高屋はばつの悪そうな顔になった。
「それが、俺が立ちあがったときには、もういなくなっていたんだ。そのままそいつらを追いかけて行っちゃったからさ。だから俺はどんな人だったかなんて知らない」
「叫びながら近づいてきたんだろ。声に聞き覚えとかもないのか?」
「全く」
高屋は目を閉じて首を振っている。
佐々木は暴力を受けている高校生を助けるような大人とはどんな人物だろうかと興味があったので、高屋の答えにはひどくがっかりした。
そんな佐々木とは対照的に由利は目を輝かせて言った。
「でも、かっこいいよね、そのおじさん。本当に正義のヒーローみたい」
「渋いよな。多分、そのおっさんはピーター・パンだな。ピーター・パン症候群」
高屋がそれに答える。
佐々木はピーター・パン症候群の使い方を間違えているのに気付いたので間違いを指摘することにした。
「ピーター・パン症候群は、大人になることを拒否して、精神的に成長しようとしない大人を揶揄する言葉じゃなかったっけ。この場合は、相応しくないだろ」
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