三年3

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 昼休み明けの授業は体育だった。  部活も引退して勉強漬けになった高屋にとってはちょうどいいリフレッシュの時間だった。  着替えを済ませ、グラウンドに行くと既に体育委員がサッカーボールを体育倉庫から持って来てくれていた。  授業が始まるまでは少し時間があるので好きにボールを蹴っていてよかった。  前のソフトボールの方がよっぽど楽しかったが、サッカーもサッカーで悪くない。  高屋はスポーツなら何でも得意だ。  専門種目でなくても人並み以上にはこなせる。  高屋はゴールに向かってボールを蹴っていたが、一緒に出てきた佐々木は面倒くさそうに階段に腰掛けたままだった。  佐々木も運動神経は悪くはないが、球技はあまり得意ではないみたいだ。  興味がないと言っていたので真剣に取り組んだことがないのだろう。  球技は小さい頃の積み重ねが一番大事だ。  それがなければ、例え運動神経が良くてもなかなかこなせるものではない。  授業が始まり、男子、女子がそれぞれ二チームに分けられた。  佐々木とは別のチームだったが、藤崎と同じチームだったのはラッキーだ。  藤崎は中学までサッカーをしていて、このクラスの中では断トツで上手かった。  だからほとんどの場合、藤崎のチームが勝っていた。  高屋は例え体育の授業でも負けるのがいやなのだ。
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