三年3

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 まずは男子のチーム同士の試合だ。  高屋のチームがビブスを着ることになった。  そして高屋はフォワードに配置された。  体育の授業なので、そこまできっちりとフォーメーションを決めたりはしないが、藤崎がFW、MF、DFぐらいは決めようと言って振り分けられた。  試合が始まるとほとんど団子状態でボールを奪い合った。  その中でもやはり藤崎は別格で鮮やかに試合を捌く。  目立ちたがってプレーするのではなくまんべんなくパスを散らし、みんながボールを触れるようにしていた。  十分ほどが経過した時、右サイドのセンターライン手前で藤崎が右足で切り返し相手をかわした。  そのまま左足でループスルーパスを高屋に送った。  見事に相手ディフェンダーの頭上を越えて、バックスピンのかかったボールは必要以上に転がることもなく、高屋は完全に抜け出した。  もらったと思い、ボールを足の甲でトラップし、ゴール目がけて一直線に走る。  しかし、キーパーと一対一になりシュート体勢に入ろうとした時、横からボールを蹴り出された。  蹴り出したのは佐々木だった。 「くそ、相変わらず脚は速いな」 「相変わらず脚も遅いな」  佐々木の息は乱れていた。  言い方に腹が立ったので、「相変わらず体力はないな」と言ってやった。 「いや、その前に脚もってなんだよ。他に何があるんだよ」 「自分で考えろよ」  そう言い残し佐々木は元のポジションに戻っていった。
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