61人が本棚に入れています
本棚に追加
まずは男子のチーム同士の試合だ。
高屋のチームがビブスを着ることになった。
そして高屋はフォワードに配置された。
体育の授業なので、そこまできっちりとフォーメーションを決めたりはしないが、藤崎がFW、MF、DFぐらいは決めようと言って振り分けられた。
試合が始まるとほとんど団子状態でボールを奪い合った。
その中でもやはり藤崎は別格で鮮やかに試合を捌く。
目立ちたがってプレーするのではなくまんべんなくパスを散らし、みんながボールを触れるようにしていた。
十分ほどが経過した時、右サイドのセンターライン手前で藤崎が右足で切り返し相手をかわした。
そのまま左足でループスルーパスを高屋に送った。
見事に相手ディフェンダーの頭上を越えて、バックスピンのかかったボールは必要以上に転がることもなく、高屋は完全に抜け出した。
もらったと思い、ボールを足の甲でトラップし、ゴール目がけて一直線に走る。
しかし、キーパーと一対一になりシュート体勢に入ろうとした時、横からボールを蹴り出された。
蹴り出したのは佐々木だった。
「くそ、相変わらず脚は速いな」
「相変わらず脚も遅いな」
佐々木の息は乱れていた。
言い方に腹が立ったので、「相変わらず体力はないな」と言ってやった。
「いや、その前に脚もってなんだよ。他に何があるんだよ」
「自分で考えろよ」
そう言い残し佐々木は元のポジションに戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!