三年3

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 男子の試合が終わり女子の試合が始まった。  ビブスを返してから戻ると退屈そうに佐々木が一人で立っていた。 「お前ももっと真面目にやれよ」 「結構真面目にやったけどな」 「サッカーなんて脚が速けりゃ何とでもなるだろ。もっと頑張れよ」 「その頑張ってない俺にお前は止められたのか」  佐々木がからかうように笑った。 「いいんだって、俺はあれで。体力がないのはお前も知ってるだろ。お前みたいにはしゃいだら五分で死んじゃうって」 「まあ、そうだろうな。それよりさっきの藤崎の歓声聞いたか? 何でサッカー出来る奴ってああももてるんだろうな?」 「いや、あれは凄かっただろ。素人の俺が見ても難しいのが分かる」 「そうじゃなくて全般的な話だよ。絶対、野球部よりサッカー部の方がもてるんだよ」 「そりゃ、サッカーの方がおしゃれなんだろ。野球なんて帽子かぶったら誰が誰だかわかんなくなるからな」 「お前はどこの年寄りなんだよ。顔見りゃすぐに分かるだろ」 「俺からしたら全員、一緒の顔だ」
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