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そして勉強が終わると由利を家まで送って行くことになっている。
由利の家は図書館から一キロも離れていないため普通に歩けばすぐに着くのだが、暗黙の了解という感じで出来るだけゆっくりと歩いた。
「高屋君、大丈夫かな。昨日の今日だから、今日も探し回られてるかも」
由利が心配そうな声を出した。
「大丈夫だろ。今日は違う道から帰るように言っているし、もし見つかってもまた、ピーター・パンが助けに来てくれるんじゃないの?」
「大祐君って、結構無責任なこと言うね」
「そうかな」
「でも、そのピーター・パンに私も会ってみたいな」
「そう言えば、高屋自身はたまたま通りかかった人って言っていたけど、本当にたまたまなのかな? もしそれがたまたまじゃなかったら、やっぱり高屋が襲われたこともたまたまじゃなかったんじゃないかな」
「どうして?」
「今時、喧嘩を見かけたからって、止めに入るような人って何人もいないと思うんだ。そんな人がたまたま、しかも夜中の公園に通りかかったなんて、偶然で片付くのかな。それが偶然じゃなかったら高屋が襲われたのも、偶然じゃなくて必然だったって考えた方が自然だろ」
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