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由利が佐々木の言葉を聞いて、うーんと唸って考えている。
「高屋君が襲われたのも助けられたのも何か同じ理由があるってこと?」
「そうじゃないかなって。上手く言えないけど何となくそんな気がする」
「やっぱり、私は偶然だと思うな。偶然だったほうが、何となくロマンチックな気がしない?」
「俺は逆だな。全ての事がつながっている方がロマンチックな気がするけど。と言うか、つながっていてほしいって思う」
現実を考えてみるとつながっているとする方がスムーズに話が流れる。
ただそれは願望に過ぎないのかもしれないとも思った。
この世の中に起きたことが全て偶然の産物だったとしたら、あまりに世界が無機質なものに感じる。
もちろん、偶然が重なることもあるだろうが、せめてこの件に関しては偶然なんかじゃなく、必然であってほしいと佐々木は思っていた。
「それはそうと、さっきピーター・パンの話が出てきたけど、あれの話の内容って覚えてる?」
佐々木は子供のころに腑に落ちないでずっと心の中に引っかかっていたものを思い出した。
「読んだ覚えはあるけど、ほとんど覚えてないなあ。ティンカーベルとウェンディがピーター・パンを巡る恋のライバルだったっけ? ティンカーベルってあんなに可愛らしいのに性格が良くなかったんだよね」
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