三年4

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「そうだよ。まあ、ライバルって言うよりかはティンカーベルが勝手にやきもちを妬いていただけだけどね。そのことより、ピーター・パンとフック船長の一騎打ちの場面は覚えてない?」 「最後は確かフック船長が海に落ちてワニに食べられちゃうんじゃなかったっけ?」 「そう。俺、子供の時さ、そのシーンが理解できなかったんだ。ピーター・パンとその仲間が次々に海賊を殺して、最後に仲間を全て殺されたフック船長にピーター・パンが一騎打ちを仕掛けるんだ。だけど、二人の実力差は歴然でフック船長の攻撃は全く当たらなかった。そうしているうちに負けを悟ったフック船長はピーター・パンに目で合図を送って、海に蹴り落とされるんだ。この時の二人は何を考えていたんだろうって子供ながらに不思議に思っていたんだ」  一番不思議に感じたのはフック船長の目で送られた合図だった。  フック船長が込めたメッセージとピーター・パンが受け取ったメッセージは一致していたのだろうか。  そして圧倒的な実力差を見せつけて、かつてのライバルをあっさりと蹴り落としてしまうピーター・パンは何を思っていたのか。
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