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どこも同じなんだなと少し仲間意識が芽生えた。
「そうだ。今のうちからじゃないと間に合わないぞ」
「高屋さんに言われたくないですよ。さっきは早すぎるって言ったくせに。まあ、高屋さんは選抜コースだからやれば出来るんでしょうけど、俺たちみたいな普通科の生徒は今から必死ですよ。元がそこまで良くないのに期待だけは大きいですから」
「確かに俺はやれば出来る子だが、それでもなかなか苦労している。早めに手を打っておいた方が無難かもな」
「何、自分で出来る子とか言っちゃってるんですか。お世辞ですよ。真に受けないで下さい」
松木は苦笑している。
「冗談だよ。お前こそ真に受けるんじゃない」
そこで、松木は周りに誰も聞いてないことを確認して声をひそめた。
「高屋さん。その顔の怪我大丈夫なんですか? なんか今日、いろんな噂を聞いたんですよ。他校と大喧嘩をしたとか、やばい犯罪に巻き込まれたとか」
「やばい犯罪って何だよ。心配するな。自転車で転んだだけだ」
「学校にもそうやって説明したんですか? そんなの絶対に疑われますよ」
「え? そうなのか?」
「そりゃそうでしょ。自転車で転んで、顔から落ちるなんてそうはないですよ。しかもよりによって高屋さんがそんなことになるなんて誰も信じないですよ」
「買いかぶりすぎだ。俺だってたまには顔から落ちる」
「ないですよ。まあ、言いたくなかったらこれ以上は訊きませんけど本当に大丈夫なんですか? それだけは訊いときたくて。変な噂とか聞いて心配だったんで」
「大丈夫だって。気にするな。そのうち時期が来たら教えてやろう」
「ほら、やっぱり何かあるんじゃないですか」
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