プロローグ

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暴力を加えた理由は簡単だ。 そいつが佳奈に手を加えようとしたからである。 佳奈は、俺が通っている私立白凛学園の理事長の娘で、顔良しスタイル良し性格良し。 おまけに頭もよく、いわば、才色兼備のお嬢様なのだ。 退学になって数ヶ月が経過した。 12月25日・・・雪が降っていた丁度冷え切った頃のことだった。 いつものように家でごろごろしているとめったに人の訪れないこの家にインター音が響き渡る。 のぞき穴からのぞいてみるとそれは良く知っている人間だった。 学校の理事長・・・水無月 純さんだった。 用事はなんと再入学の件について・・・。 理事長の娘である佳奈を助けて貰った礼をこめてのことらしい。 そして暴力沙汰になったことから退学させるしかなかった状況についての謝罪だった。 私立というからにはお金持ちもたくさんいる。 そう、だから暴力沙汰になっては退学させざるを得なくなった訳だ。 「学校に通うと噂が立って返ってあなたに迷惑じゃ。それにお金が・・・」 そう言って申し訳なくそう話すと 「噂の方は大丈夫だ。お金の方は、別に要らないのだが君が心苦しいと思うから・・・ そうだね、僕の仕事を手伝ってもらえたら嬉しいよ。」 笑顔でそう答えてくれた。 これ以上親には迷惑をかけれなかった。 そして何より、もう一度学校に通えることが嬉しかった。 そう、そのおじさんはクリスマスプレゼントを運びにきたかのようだった。 数日後入学手続きとともに学生服と手紙が送られてきた。 もちろん理事長からの手紙だ。 内容は祝いの言葉と学校に通う条件だった。 条件という言い方はおかしいが、世間で大騒ぎされないようにするための配慮のようだ。 その条件こそが薬を使って女の子になり、学校に通うことだった。 これが僕・・・いや、私の女子高校生活の始まりでした。
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