2人が本棚に入れています
本棚に追加
ここで弾のような物が、俺の頬を掠めた事に冷や汗が出てくる。
弾丸が、俺の頬を?
男は弾を誰が撃ったかは知らない。当然俺と神奈川も知らない。
男は怒り始め、重そうな足を引きずり俺の方へ近付いてきた。
だが足を踏み出して一歩、俺はそいつを簡単に見失った。
男の前に、男と同じくらいの背の女性が立ち塞がっていた。
背中に大きくドクロのマークがプリントされているシャツが目立っている。
男はその女の登場に驚いたのか、足の動きを完全に止まり、固まってしまった。
ドクロの女は、その場でぼそぼそ小声で何か言ったのが聞こえた。
パンッ!!と
「くそっ……」と男は銃声の音が絶つのと遅れて声をあげる。
そのまま両足を同時に付き、虚ろな目をゆっくりと閉じながら、白いコンクリートにくたばる。
何が起こったかさっぱりだった。
俺を刺したあの男は、たった今ただのタンパク質の塊と化したのだ。
「雑魚っ」
女は、ニッと苛立ちを覚えさせる笑みで、動かないそれを嘲る。
恐怖で足がすくんだ。胃が収縮する感覚で、気分が優れない。
神奈川は呆然として、状況を理解できてない。
最初のコメントを投稿しよう!