プロローグ

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どくろ女は少しも俺に興味を示さない。神奈川には何度か視線を送るが、それには意味をない。 言葉を出すことは叶わず、母音のみとなり直ぐに朽ち果てていく。 「うっざ」細かく切った一言は俺に向けられた毒づき。 どくろ女は先ほど殺された男の首を、爪で抉るように乱暴な手つきで掴み、体を持ち上げた。 男の足をだらんと地面に摩擦させたまま歩き、後に残るのは鮮やかな赤色。 彼女が向かうのは何もないただのフェンス。 無惨に右目が開いたままの男は、恐らく地面に落とされる。なんとなくだが、分かってしまった自分が苦しい。 光景に動けない。一緒に殺される。 殺人現場を目撃してした少年と少女は殺されてしまう。頭が呟く。 膝が小刻みに震える。こんな状況でも体は正直なようだ。 苦手な長距離走の二千メートル走らせた後より大きい震えってなんだよ。 年取って死ぬのも嫌だけど、楽しい時期に他界って不幸人間さながら。 どうせなら殺される前に殴り掛かれば、どうにかなるんじゃね。 俺死んだって、神奈川が生き残ってこの事件こと話してくれれば英雄じゃん。 この前提だと神奈川が生き残る結果になってんじゃん。
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