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殺人現場に立ち会わせたなんて、出来れば信じたくないこと。
俺は震える脚で立ち上がり、屋上のドアノブに手を掛けた。
「無駄だよ」神奈川の声と同時に扉を開こうと、ドアノブを引いた。
ここで神奈川の言った意味が理解できた。
扉は開かなかった、のだ。
なんで。オートロック式なのか。だとしたらさっき俺は入れないじゃないか。鍵の閉まる音もしなかったし。
一瞬パニックになり、何度も扉を力一杯引くが開くことはなかった。
「帰ろ」惨めに見えたのだろうか。神奈川は一言呟き、先にいってしまった。
俺も彼女について行き横に並んだ。
神奈川は本来、こんな冷たいヤツじゃない。……と思う。
クラスの中心にいるようなカテゴリで、男子にも気さくに話す感じの謂わばチャラいって表現した方がいいのかも。
なのに、今は、その面影もない、ただの、隠キャラ、だった。
体は心なしかぐったりしてる。
大丈夫かよ。
ショッピングモールから出た所で、熱気が押し寄せたのと同時に、ふと思い出した。
男が落とされた瞬間の映像。その落下地点のことを。
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