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不思議なことに、俺が出た所には“変哲のないアスファルトが広がっていた”。
あの男の落下地点であるはずのここに。
何もない。野次馬もない。死体もない。血すらない。
やはり、可笑しい。
全てにおいて可笑しい。
これは神奈川は分かっているだろう。でも、目も暮れず歩いてる。
知っているが教えてくれない。こんなところだろうか。
今日一日でこいつを一気に苦手になった気がする。
そんな神奈川の後を着いて歩く。
何を言わないとこを見ると、別に構わないのだろうか。意外にも、着いてこいと言っているのかもしれない。
逆に向こうが気付いてない可能性も否めないけど。
夕暮れが夜に呑まれる直前に彼女は脚を止めた。
それに同調して、俺も前に出していた右脚を引っ込める。
そのまま俺に正面を向けるように、振り返って、視線を真っ直ぐ飛ばしてきた。
彼女が立っているのは、俺等が通っている学校の裏門であった。
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