プロローグ

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体が重くて足が吊りそうだ。 汗は止まらないし、その汗がYシャツの下に着てるシャツに染み込んで、背中に張り付いて気持ち悪い。 こんなことならあの手紙を開けなきゃよかったんだ。 まさか下駄箱に入ったピンクの手紙を、ラブレターだって思わないやつはいないだろうが。 あー、なんかムカついてきた。帰ったら牛乳一リットル飲んどこう。 やっぱ気持ち悪くなりそうだから止めとく。 『帰り際に見た手紙は脅迫であった』 だれがそんなこと考えるんだよ。 クラスの“あのコ”を誘拐した、だなんて嘘だと決まってる。けど、なんか嫌な予感しかしない。 第六感なんて信じたことも体験したことも尚更無いけど。 大体話したこと無いし、顔知ってるくらい。 「……ここだよな」 思わず不安を感じてしまう場所である――普段よく行くショッピングモールだ。 誘拐と考えれば、まず廃墟ビルとかって発想は古いってことか? あまりに見慣れた風景に、戸惑いを受けてしまった。 ここは去年できたばかりで、この時間帯は特に人が多いはず、なのに態々ここにしたのか? 考えても理解は不可能だと気づいた頃には既に中に入っていた。
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