プロローグ

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うちの学校制服を来た生徒を見るのもざらにある。 汗を滴り、息を切らした俺を快く見る人は恐らくいない。 周りの目を気にせず、ただ誘拐と、それに関わった人物を見付けるのに集中していた。 ラブレターもどきの脅迫の手紙を確認しようと、ポケットに入れたそれを出す。 この住所が書かれた後に『屋上にいる』とある。 屋上は確か閉鎖されて入れないはずだ。 ここができたばかりの頃、友達数人連れて中を探検と表して遊んだっけ。 そのときは屋上は封鎖されていた。 ―――だが、手紙を書いたやつは来いと言ってる。 考えるのを一旦止め、目的の上を見る。 そこを目指し、重くなった足を再び走らせる。 普段ゆっくり歩いている場所を、他の人の四倍速で走り抜ける。 毎回の様に入るアウトレットショップも無視し、走り抜ける。 女子高生の後ろ姿にも目も暮れず走り抜ける。 エスカレーターも、一段抜かして前を行く人に軽く肩をぶつけながら走った。 どうしてこんなに必死なんだろうかと考えるくらいに、だった。 こんな速さなら、クラスのトップより1500m速いんじゃないか? こんなときに限ってこんなこと考えるんだよこの頭は。あとでしごいとかなきゃいかんかも。
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