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走りすぎで酸素が足りてないのかもしれない。
そう考えると楽になれるのは何故だろう。
「ねえ、大丈夫?」口ごもってしまいながら話しかける。
うちの学校の制服を着た彼女は、伏せていた顔を上げて俺を黙視する。
しかし、目があったのは一秒もない。彼女がすぐに下を向いてしまったのだった。
そして、次は少し焦った様に再び顔を上げて、俺の顔を念入りに見つめる。
「えぇと軋宮君?だよね」確認を取られたが焦りは止んでいなかった。
「 早くここから去って!!」そう言いながら、訴えかける様子はありがちなヒロインキャラ風だった。
でも、確かに誘拐犯が本当にいるなら、危険なことだけど。
それより、自分の身の安全を求めるはずじゃないのか。
「じゃないと―――」
言葉が途切れた、気がした。
実際は一瞬俺の耳が聞こえなくなっていただけであった。
何故だとか、以前に背後に何か感じて、振り向くことを優先していた。
なんだこの感覚。気持ち悪い感じがしてならない。
背中に感じた“何か”を気味悪がって、それを確認しないといけない気がした。
首が回りはじめたと同時に体が重くなる。立ち眩みもしてきた。
膝を伸ばすのも力を入れなきゃ叶わない。
感覚がおかしくなったのは誰もが見ても思いだろう。
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