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鋭く俺の上に股がる男を見つめていた。
そして、地面を強く蹴る事で得た反作用で、素早く俺に向かい走り出した。
彼女は走りながら右の拳を強く握り、腕を水平に構え後ろに引く。
速すぎないか? 男子平均の速さを優に越えるくらいはある。
大体、神奈川が運動できるなんて聞いたことない。運動会だってリレーじゃ抜かされてた気だってする。
狼狽してる俺に近付いている。
彼女は不満を隠せず、男を殴ろうといている。
なに対して?
その男は ん?とこの状況に惚けている。
この速さで殴られたらさすがにまずいぞ。
そう思ったとき、俺に掛かっていた男の体重は無くなっていた。
男が俺から離れたとき、神奈川のスニーカーが俺の目の前にあった。
「神奈川は何をしたいの?ぼくだってそんな暇人じゃないんだって。君が呼んどいて、さっそく殴りかかるなんて、どんなバイオレンス?」
ふぅと溜め息を吐いた男は長身で、二十歳を思わせる風貌であった。
男の首には神奈川の腕にあったゼンマイと同じような物が、数十個紐で括られたネックレスがあり、大きく揺れていた。
ゆっくり俺は立ち上がった。
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