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目眩はするけど立てないほどじゃない。
そして気付いた、体には全く血が付いてない。
「ふざけないで。私はあなたを呼んだ覚えもないし、彼をここに呼んでもいない。何がしたいかなんて私が聞きたいくらい。」
どうやら俺のことでもめているらしい。
「はあ?」男は苛立ったような口調で毒づいた。
「俺を嵌めるなんて、面白いことしてくれんじゃんか、あいつ。じゃあその子星谷くんじゃないの?」
釈然としない顔で、男は追求しようとする。さっきとは話し方と声が全く違くなっている。
こいつの話から俺は、星谷って人と間違われている可能性がある。
「だから今すぐ彼の“枷”を外してください」
彼女も相当緊迫している。何の話しかは全くわからないが、重要な事だとわかる。
神奈川は額の汗がドッと出始めている。
「君話し聞いてたよね?これ付けたら外せないんだって。」と首にぶら下げたゼンマイの様な金属のひとつを適当に選び、中指と親指で軽く持ち上げて揺らしながら言った。
「あと、その強きな態度改めなって言ったでしょうが。まあ最近は頑張ってるみたいだけど」
皮肉を言ってる様であり、神奈川はそれに口を歪めた。
分かったことは、俺があいつに“何かされたこと”だった。
さっき刺された筈の傷も無くなっていた。
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