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世界に通用するエリート達を数多送り出してきたという実績と何処ぞの馬の骨とも分からん女なんかに唆されないよう、と考える財閥やら大手企業のお偉いさん方がこぞって息子を放り込む。
何から何まで浮世離れしたそこ。
未知への探究心は人間の行動意欲に直結していると思う。
けどまぁ好奇心に殺される事例がないわけでもないから限度は大事だ。
そしてそんなところにリスクを犯してでも行きたがるコイツの探究心は、物の見事にアブノーマルに爆走していっているからである。
「憧れの全寮制の男子校、BLと萌の巣窟だぞ!?
腐男子にとっちゃこんな美味しい話があるか!」
全くもって不純だ。
いっそのこと清々しい。
「…面白そうではある。
けどま、全寮制に入ってやれる程暇じゃないんでね。
一人で逝って来い。」
ヒラヒラと右手をふる。
「んな冷たい事言うなってハニー。
俺とお前の仲だろ?」
やけに余裕のある笑みに違和感を覚えながらも軽くあしらおうとすると、軽いノックの音が響いた。
カチャリ、静かな音と一緒に姿を見せた麗さんこと母親。
俺と静流の姿を認識するとふんわりと微笑む。
「静流君いらっしゃい、旬と2人で下に降りてらっしゃい♪」
小首を傾げる動作もその容姿も、子持ちには見えない少女のような可憐さがある。
息子の自分から見ても相当な年齢不詳者だ。
意味有りげに口角を上げた静流を視界の端に捉えながら下に向かう麗さんの後に続いた。
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