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賢い奴は好きだぜ、そう言って瞳を甘く細めるこの人の餌食となった人間はきっと星の数ほどいるんだろう。
こちらもフッと笑って視線を合わせる。
それだけでお互いがどれだけ意図を汲み取ったかを伝えるのは十分だ。
誠司さんは満足そうにもう一度目を細めた。
きゃいきゃい騒ぐ腐った奴ら約3名はもう知らん。
「悪いな、長谷校行きたかったか?」
長谷(ハセ)校、さっきまで俺と静流が通う予定だった共学校。
実際そこに拘りはなかった。
ただ近くてそこそこ条件がよかったから決めただけで。
「どうしても長谷に行きたかったわけでもないし俺は楽しけりゃどこでもいい。」
刺激のない生活なんてごめんだな。
それを思うといい転機だったと思えなくもない。
「…どうせなら、楽しませてもらうさ。」
笑った顔に誠司さんは一度目を見張ると、悪巧みしてる時の和唆と同じ顔だと爆笑された。
父親をちらりと見ると何とも言えない顔で苦笑を浮かべていた。
きっと俺も似たような顔をしてるんだろうな。
「ま、それならよかったわ。
こっちも気兼ねなく放り込、…んん"、送り出せる。」
……今回は聞き流してやろう。
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