遠ざかる意識

3/5
前へ
/61ページ
次へ
痛い。 彼の全身を激痛が蝕んでいく。 足元にぬめりとした嫌な感触が広がっていくのを、修斗は辛うじて感じることができた。 声すら出せない彼とは裏腹に、周りはなんだかザワザワと騒がしかった。 焦るように何事かをまくし立てる男性の声。 年配の女性たちのものと思われるヒソヒソ話などが、彼の意識の向こうから聞こえてきた。 しかしそれに耳を傾ける気力は、もう修斗には残っていなかった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加