遠ざかる意識

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「せーの」という男性の声だけが異様に彼の頭に響いた。 ふっと彼の体は持ち上がり、堅い布の上に乗せられる。 ああ、これは担架だ、と修斗は、自分がどうなってしまったのか、そして今現在の状況を。 働かない頭でもかろうじて認識した。 ――あ、そうだ。たしか俺はバイクと……。   彼の体がサイレンを鳴らす箱の中に入れられる。 救急隊員の男性によってバタン、と蓋が閉じられた。
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