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軽い。
足の指を動かしても、膝を曲げてみても、少しも痛みは感じられない。
気づけばサイレンも、人の声も聞こえない。
ーー無音。
どうなってるんだ。
修斗はがばっと体を起こし、辺りを見回す。
ーー闇。
辺り一面の、黒。
まるで白いキャンパスを、墨で塗りつぶしたかのよう。
人っ子一人見当たらない。
人を呼んでみようと、彼は立ち上がった。
声は出るようになっていた。
「誰かいませんか」
返事はなかった。
修斗はゆっくりと歩き始めた。
当てがあるわけではない。
ただ、人を見つけたかったから。
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