闇黒

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「わん」 修斗の背後から、犬の鳴き声のようなものが聞こえてきた。 彼は振り返ると、足元になにやら黒いものがちょこんと座っていた。 暗闇の中に、うっすらだが輪郭が見える。 どうやら本当に犬らしかった。 俺以外にも生き物はいるのか、と彼はほっと胸を撫で下ろす。  「わん」「わん」  「わわん」 犬の鳴き声が二重に、重なって聞こえる。 修斗は犬にぐっと顔を近づけて、目を凝らしてよく見てみた。 尾、体。頭だと思われる輪郭が二つ。 頭が二つ。 とっさに修斗は飛びのいてしまった。 そう、二つの頭が交互に鳴いていたのだ。
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