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その正論はニーナの心を大きくえぐった。
元仲間に対する気持ちを聞きたかったが、口に出すことも出来ずに俯いてしまった。
「では私はこれで失礼します」
そんなニーナを見てアリアが去るのとすれ違いでライとヒュージが駆け寄ってきた。
「ニーナ大丈夫か?」
心配そうにライはニーナに問いかける。
「ねぇライ、私たちって一体何なんだろう」
「は?」
きょとんとするライと無言で見るヒュージにニーナは本音を打ち明けた。
親や周囲の反対をほぼ無理矢理押しきってここにいながらも何も出来ていないこと。
更に言えばここにいることで何ができるのかということ。
ただ無力であることを悔いるような言葉を続けていく。
普段気丈に振る舞っていようが、まだ子供なのだ。
いくら決心を固めようが壊れてしまう、そんな状態になりつつあった。
その言葉が、その態度がライの怒りに触れた。
「ふざけんな・・・」
ライはニーナの胸元を掴むとそのまま上を向かせた。
ニーナの目に映ったのは一筋の涙。
「俺にはヴァリスのように力も無ければ知識もないし、お前のように特殊な属性を見につけたり堂々と振りまいたりするなんてことは出来ないんだよ!そんなお前たちと肩を並べられるのなんて地位1つぐらいしかないんだ!今まで2人の背中を見てこうありたいと思いながら来てるんだ!だから・・・だからさぁ・・・頼むから折れるなんてことはしないでくれよ・・・」
ポタポタとニーナの頬に落ちるライの涙。
そんなライの言葉が今まで自分のことしか考えていなかったことにニーナを気付かせた。
強くなりたい。
シュウを見返してやりたい。
これは全て自分のためだけ、周りのことを見ることが出来ていなかった。
「そういう事だ。周りをよく見直せ。お前の見ているものは高過ぎるんだ。たまには下を見て考え直していけばいいんだよ」
貴族ではないヒュージにとってこの2人の考えを全て理解する事は出来ない。だからこそ支えたいと思っているのだ。
「2人ともありがとう・・・」
どこか力の抜けた表情のニーナに男2人は笑みで返した。
これから一カ月、それぞれの進退が繰り返されるのだが、その後動きがあった。
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