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戦争が始まって一ヶ月、両国とも被害を出している中、ユウが働く補給地、そこにヒュージは防衛隊として派遣されていた。
次々と運ばれてくる負傷者の治療をユウを含む衛生班が頑張っている一方で、この地の防衛をするのがヒュージたちの役割なのだが、まだ実力と経験を持たないために主にユウたちの手伝いをしている。
初めてこの地に着いて現状を見た時、ヒュージを含む学生たちは皆吐いた。
体調を崩しかけたが、治療に専念するユウの姿を見てなんとか気力で持ち直した。
「ヒュージくん、お疲れ様です!」
「それは俺の台詞だろう?」
少し休憩を挟んだヒュージの目の前に立つ笑顔のユウ。
長い間一緒に過ごしてきたからどれだけ疲れているのかがすぐに分かった。
ヒュージはユウの顔を両手で挟むとそのまま揉みほぐし出した。
「にゃ・・・にゃにを・・・するんです?」
「無駄に疲れることをするな。皆の前ではそれでもいいが、俺たちの前でぐらいは休め」
その言葉に少し目を大きくしたユウだが、それもすぐにいつもの表情に戻った。
「やっぱりヒュージくんは頼りになりますね?」
「弱音とか言いたい事があるなら俺たちがいくらでも聞くぞ?まぁ、あの2人はいないが」
ニーナ、ライ、ユウ、ヒュージの4人が一緒に行動を始めてもヒュージがユウにとっての一番の相談相手である。
面白かった事から悲しかった事までどんな内容でも聞いてくれるこの関係は落ち着けるものなのだ。
「ふぅ、ありがとうです!」
「いいや、気にすることではないし、いつもの事だろ?」
いつの間にか話し込んでいた事に気がつくと、礼を言って持ち場に戻っていくユウの背中をヒュージはジッと見ていた。
ここに来てから大した時間も経っていないが、明らかにユウの相談回数はいままでに比べてかなり多く、内容も悲しい事が大半を占めている。
早くこの戦争を終わらせたい。
そう思いながらも力がない自分に苛立ちを覚えながら、ヒュージは持ち場に戻っていった。
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「邪魔だ、ガキ!」
所々で出現する敵部隊を排除する中、たまにヒュージも小さい部隊の相手に回されることがある。
パワーを自慢とするヒュージの装備は防御力重視の全身を覆う鎧に魔武器である巨斧の爆砕。
ある程度の攻撃を防ぐ事ができても、こわれてしまい補修との繰り返しが続いている。
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