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少しずつではあるが、確実に魔導鬼の数は減っている。
このまま行けばどうにか出来る。
援軍まで耐えきることが出来る。
そう思い始めていたときであった。
「ガアアァァァァァァァ!!」
残っていた赤が急に近くの敵を無視し、一箇所の防衛班を集中的に攻撃し始めたのである。
「ぐぅっ!」
一瞬で弾け飛んだ防御壁、そこを逃さずに魔導鬼が走り出す。
「調子に乗るなよ、ゴミ共がぁ!!」
騎士団長が周りの部下を引き連れて突撃を仕掛けるが、それを青が許さない。
進む先を赤を犠牲にしてまでも魔法を放つ。
「クソが!」
この統率の取れた動きからどこかに操る帝国兵が潜んでいることは予測できるが、そちらに人員を割く余裕は一切ない。
ならばここを制圧するしかなくなる。
焦りしか生まれないこの状況で、彼らはさらに追い込みを受ける。
なんと残っていた青が崩れた防御壁に向かって全員で中級の風魔法を放ったのだ。
その途中にいた赤と人間は切り刻まれ、完全に突破されたところにばら撒かれていく。
「やらせない!」
まだ内側に残っていた人間たちで死体の雨と風魔法を防御するが、解除されるのと同時に周りは死体で溢れていた。
被害は大きかったが、相手の数も減り、なんとかなった。
それはヒュージもユウも第3騎士団の大半も少しの安心感を覚えた。
しかし、本当に一握りの者たちだけは違った。
それはとある情報を持つ者たち。
「全員、持ち場を捨ててその場から逃げろぉ!!」
第3騎士団長の焦りの声が響くのと、死体を中心に多くの魔法陣が展開されたのは同時であった。
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