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将希は走りだした。
バスに飛び乗り、崖にかかる吊り橋にへと向かう。
早く早く早く早くッ
のんびりとお喋りする観光客にイライラしながらひたすら将希は到着を願った。
どすどすどすっ
身体が自然に足踏みをしてしまう。
間に合えっ間に合えっ
…………
バスが目的地に着くなり将希は飛び出した。
花枝が自殺したら俺のせいだ!!
頼む!間に合ってくれ!!
願いながら走る。
きっと花枝は人目のつかない奥の方にいるはずだ。
吊り橋をかけわたり、絶壁を隣目にしながら木々の中の道を探す。
どこだ?
いないのか?
ハァハァと息を切らせながら奥へ奥へと進む。
………!!
奥のベンチに1人腰かける女性を発見した。
花枝か?!
慌てて近寄って見ると………
薫がいた。
「……薫?」
「将希くん!早かったね。」
冷たい微笑を浮かべた薫に将希は身体中の血が冷えていくのを感じた。
「…どうして…ここに?」
「それはね……」
ふいに花枝の声が聞こえた。
「あたしと薫が高校の同級生だったから!!」
花枝の低い怒鳴り声が響く。
「将希くん、最低ね……私信じてたのに……疑いもしなかった……同窓会の時に恋話をお互いしていたら……共通点がありすぎて……名前も一緒なんだもん…」
薫がポロポロと涙をこぼし訴える。
「ねぇ、今日怖いことなかった?」
目は怒りを秘めたまま、口だけで笑いながら花枝は将希に尋ねた。
「ああ……あったね」
「フフッあたしに呪われているかと思った?」
暗い笑いはもはや恐怖でしかない。
「あれね……全部あたしと、薫と、麗香がしかけたのよ」
「えっ麗香も……?」
「えぇ、薫の会社で一番の仲良しだから、話を持ちかけたら一緒に怒ってくるたわ」
ウフフと花枝は美しく笑う。
「暗闇での恐怖での、麗香の活躍はいかがだった?」
真っ暗になった部屋に首筋を襲う何か、高いビルの窓に不気味にゆれる人影……
思い出す度にぞっとする光景だ。
「あれを……全部作り上げたのか?」
「ええ、種明かしを知りたい?」
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