笑顔5

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じっとりとした視線 鳴り響くバイブ 「大井町~大井町~終点でーす」 アナウンスが響くと同時に将希は周囲を突飛ばし、車両からダッシュででた。 「きゃっ」 女性を突飛ばしてしまったようだ。 「あ、すみません」 慌てて謝ると見慣れたショートボブが微笑んだ。 「薫…!」 「なんだ、将希くんかぁ~。どうしたんですか、そんなに急いで??」 薫の柔らかい声と微笑みに、さっきまでの恐怖と緊張が一気に溶けた。 「あ………や………と、時計が狂っちゃったみたいで……遅刻寸前かと思っちゃった……アハハハハ」 ひきつった笑顔を顔に張り付けて将希はごまかした。 「なぁんだ、将希さんのオドジさん❤」 そう言うと薫はポンっと将希の肩をを軽くたたき、笑った。 「会社行きましょうか♪」 「おぅ。行くか!」 将希は薫の隣に並ぶと歩幅を合わせて歩きはじめた。 その様子を影からじっと見つめるものがいるのにも気がつかず……。
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