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「将希くんなんか顔色悪い…具合悪いんじゃない?」
薫は心配そうな声をだし、上目遣いに将希を見た。
キラキラした目はチワワのようだ。
(そんなことされたら、惚れてしまうやろー!!…あ、もう惚れてるか…)
1人心の中で身悶えした後、将希はなんでもないよと答えた。
「そう…ならいいけど…今日はお仕事無理しないでね!約束も体調悪かったらまた今度でいいから!」
(優しい~!!くーッ身に染みる…)
「ありがとう。でも薫との約束は絶対果たすから!てか俺が果たしたい!」
力強く将希は言いはなった。薫の前では強くてかっこいい男を演じ続けるつもりである。
「…わかったわ。じゃあ、また夜に。」
薫はふんわりと微笑みながらひらひらと手をふった。
気がつけばもう会社の真ん前についていた。
将希も手をふり、二人はそれぞれの部署へと向かった。
ブーブーブーブー
薫と離れたとたんバイブが鳴った。
薫からのメールかと期待したが、さきほどのあやしいアドレスからだった。
「くそっ!なんだよ」
着信拒否にすればいいのだが、そうすると嫌なことが起きる気がしてなかなか踏みきれない。
しかたなくメールを開くと、3枚の写真が添付されていた。
一枚めは晴れた日の断崖絶壁と海の写真。
この風景…どこかで見たような…
二枚目は…
絶壁通しを繋いでいる長いつり橋。多くの人々が通っている。
…思い出した。
伊豆じゃないか?確か、花枝と去年の夏に旅行した…。
なんで今さら…
しかし、この写真は新しい気がする。
去年行ったときは曇っていて…景色がよく見えず花枝は残念がっていたはずだ。
三枚目を開いて、目を見張った。
それは今朝のもので…将希とと薫が仲良く歩く後ろ姿だった。
盗撮…。
メッセージは一言。
「今カラ海ニ帰リマス。サヨナラ。」
血の気がひいていく。
花江は今伊豆にいて、自殺するつもりか!?
だとしたらこの盗撮はどうやったんだ?
いや、自殺と見せかけて、今さっきまで俺を追っていたのか?
ポンッ
急に肩を叩かれた。
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