笑顔5

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「将希くんなんか顔色悪い…具合悪いんじゃない?」 薫は心配そうな声をだし、上目遣いに将希を見た。 キラキラした目はチワワのようだ。 (そんなことされたら、惚れてしまうやろー!!…あ、もう惚れてるか…) 1人心の中で身悶えした後、将希はなんでもないよと答えた。 「そう…ならいいけど…今日はお仕事無理しないでね!約束も体調悪かったらまた今度でいいから!」 (優しい~!!くーッ身に染みる…) 「ありがとう。でも薫との約束は絶対果たすから!てか俺が果たしたい!」 力強く将希は言いはなった。薫の前では強くてかっこいい男を演じ続けるつもりである。 「…わかったわ。じゃあ、また夜に。」 薫はふんわりと微笑みながらひらひらと手をふった。 気がつけばもう会社の真ん前についていた。 将希も手をふり、二人はそれぞれの部署へと向かった。 ブーブーブーブー 薫と離れたとたんバイブが鳴った。 薫からのメールかと期待したが、さきほどのあやしいアドレスからだった。 「くそっ!なんだよ」 着信拒否にすればいいのだが、そうすると嫌なことが起きる気がしてなかなか踏みきれない。 しかたなくメールを開くと、3枚の写真が添付されていた。 一枚めは晴れた日の断崖絶壁と海の写真。 この風景…どこかで見たような… 二枚目は… 絶壁通しを繋いでいる長いつり橋。多くの人々が通っている。 …思い出した。 伊豆じゃないか?確か、花枝と去年の夏に旅行した…。 なんで今さら… しかし、この写真は新しい気がする。 去年行ったときは曇っていて…景色がよく見えず花枝は残念がっていたはずだ。 三枚目を開いて、目を見張った。 それは今朝のもので…将希とと薫が仲良く歩く後ろ姿だった。 盗撮…。 メッセージは一言。 「今カラ海ニ帰リマス。サヨナラ。」 血の気がひいていく。 花江は今伊豆にいて、自殺するつもりか!? だとしたらこの盗撮はどうやったんだ? いや、自殺と見せかけて、今さっきまで俺を追っていたのか? ポンッ 急に肩を叩かれた。
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