彼女の冬のキロク。

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空は孤空に高く 見上げた私はちっぽけで 凪ぐ雲は揺れてはざわめいて 冬空に冬らしい衣を着せている 肌をちくちく刺す凍てた風は その孤独の到来を痛いほどに心に伝える 街を見れば街灯り 人の笑顔が暖かい 凍てつくからこそ その心を暖かくする 冷えるからこそ その笑顔が身に沁みる 私は人じゃないみたい だって笑顔になれないのだもの 笑えずにただ 寂しく冷たく切なく ただ凍てついてゆくだけだから すぐそばにあった私の太陽は 冬の訪れと 空に奪われて その穏やかな衣に隠してしまったから 私はわがまますぎたかな 私は空には届かないよ 空にあるあなたと居られた繰り返す四季の刹那に 切ない涙はいま雪となって このもう凍てた身体を 隠すように降り積もった あなたと私 雲と雪 ふゆぞらに この季節とともに さようなら .
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