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あなたは覚えているかしら
覚えてなんかいないよね
あなたのキヲクに在るかしら
もう残ってなんていないよね
あなたとわたし ふたりのキヲク
刻まれた時は 一瞬にして消え去った
白い建物 ある一室
そこにはふたり あなたとわたし
もうずっとあなたは見つめる 目の前だけを
もうあなたにはキヲクがなくて
そんなあなたをわたしは見つめる
覚えてなんかいないよね
あの日あなたが言ったこと
わたしはそれを躊躇した
笑顔であなたはこう言った
僕は待つからと そう言った
残ってなんていないよね
わたしに在るキヲクはあなたには無いキヲク
あなたにとって在る今は わたしにとってのなんなんだろう
もう一度 もしもう一度
あなたがわたしの名を呼んでくれたなら
たとえ刹那のその時でも わたしを思い出してくれたなら
わたしは言うね 伝えるね
あの日あの時あの場所で 言えなかったあの言葉
一瞬を逃しただけで 永遠に言えなくなった言葉
いつあなたがわたしを呼んでも
わたしはいつでも言えるから
あなたの傍にわたしは居ます あなたにすべてを尽くします
もう迷ってないよ 傍に居る
もしもひと時思い出してくれるなら
あの日のあなたに届けられるから
一緒に生きて 一緒に死のうね
白い建物 ある一室 とてもとても小さな世界
キヲクが閉ざされ独りでも 決して1人じゃないからね
わたしが居るよ あなたの傍にずっと居るよ
でももう日々は 戻らない
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