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その唄を聴いて僕は泣いた
その唄を聴いて僕は泣いた
ずっと涙を忘れていたのに
その日僕は泣いたんだ
安いコードの チープなWebから細々と伝わってくるその声に 僕は泣いたんだ
細いコードの古い回線 そこから流れ出る 雑音混じりのその声に僕は泣いた
友達からは 安い感動だと笑われた
だってそりゃそうだろう たった一つの回線の
無料で流れるそのチープな曲に そのチープな歌声に
作り物だとわかるその言葉に 泣いちまったんだ
だからなんだ
そこに声があるじゃないか
だからなんだ
そこに曲があるじゃないか
だからなんだ
そこに詩があるじゃないか
だからなんだ
ここに聞く僕が居るじゃないか
リアルが嫌で抜け出したくて リアルが怖くて壊れたいけど
そこに僕の耳と目と この細い君との繋がりがあるから
たとえこの細い回線でも 君と繋がっているから
僕は君のその声が その曲が 聞けたんじゃないか
何年も何年も泣けなかった僕を
泣かした曲がチープでなにが悪い
誰も誰一人 汚れたものを見るように
触りたがらなかった僕の傷を触ったのが
作り物のチープな詩でなにが悪い
それなら僕が一緒に唄う そしたらその言葉は本物だろう
心から心の底から涙流して唄ってやる リアルで大声出してやる
君の存在がそこに在るのなら 僕が信じればそれはリアルだ
たとえ だれが なんと言おうとも
その声は確かに僕の胸に届いた声
その曲は確かに僕が涙を流した曲
笑いたければ笑うがいい 僕は堂々と言ってやろう
僕は君のその声が その曲が 大好きだって
安い感動で いっぱいに涙溢しながら 大好きだって
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