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朝6時の外はやはりひんやりとしていた。
少し先にある駐車場の小さな軽自動車に乗り込む。
昨日のうちに大きなキャリーバッグは郵送会社に預けているので荷物は少なかった。
「忘れ物はない?出発するわよ」
「大丈夫、お願い」
車はゆっくりと駅に向かって走り出した。
雲の切れ目から朝日の光が差していて、幻想的な光景が目の前に広がる。
「綺麗な空ね」
「うん、そうだね」
あまり感情の入ってないお母さんの声に空返事をする。
私には新天地に向かうという不安と期待が入り混じった空に見えた。
お母さんにはどう映ってるのだろうか。
私は聞くことができなかった。
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