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「お願いとはなんですか?」
取り出していた諭吉さんをしまい込み、おずおずと聞いた。
「お願いってほどじゃないんだけど、、、」
少し苦笑いに見える笑顔でお兄さんは歯切れの悪い言葉を漏らす。
なにかまずいことでもあったのだろうか?
一度不安を感じると後まで引きずる私は少しづつ不安に駆られる。
私にできることかな、、、?
でも私ができる程度のことなんてお兄さんでもできるんじゃ、、、?
もしかしたら一人じゃできないことなのかも、、、
少しの間にたくさんの不安が溢れて溜まる。
しかし、私の不安を大きく上回る言葉がお兄さんの口から出た。
「またタクシーを利用する時は我が柏校タクシーライズを使ってね。これは僕の名刺。ここの番号に電話してくれればすぐにお迎えにいくから」
今までで見たことないくらいの笑顔でお兄さんはカードを差し出す。
普通の女の子ならきっとその笑顔にときめいてしまうだろうが柚香は違った。
積りに積った不安のせいで頭が理解できていなかった。
とにかくわかっていることは散々湧き出た不安は全く関係ないということだけだった。
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