偶然は必然の運命を穿つ

初登校

差し出されたカードにはこう書かれている。

柏校タクシーライズ
タクシードライバー 笹崎 隆尚

「えっと、ささざき、、、たかなおさん？ですか？」

「よく言われるんだけど違うんだよね。まぁそういうふうに読めても仕方ないけどさ」

「あ、すいません！！」

おちゃらけた笑顔で言うお兄さんにすぐに頭を下げる。

嫌だぁ！人の名前間違えちゃうなんて！！

人の名前間違えるなんて失礼千万。

元々男の人のことを名前で読んだことがあまりなかった。

それに男の名前は似たような呼び方もあり、またはどう読むのかわからない名前もあるので難しいと感じていた。

まさか初日からやらかしてしまうとは思ってもいなかったのだが。

「俺は笹崎 隆尚(ささざき たかひさ)。大学2年生だよ。呼びづらいだろうから隆尚って呼んでいいからね」

「はい、すいませんでした、隆尚さん。私は岩清水 柚香といいます」

「岩清水 柚香ちゃんね。覚えておくよ」

そういうとゆっくりと車を校舎近くの空きスペースに停めた。