偶然は必然の運命を穿つ

入学式

私の席は前から3列目の左から3番目。

座席は出席番号順に左から並んでいるので右隣には自動的に優梨が座る。

因みに4組の優真も１つ後ろの列の優梨の後ろの席に座っている。

しばらくして1年生が全員集まり、それぞれが席に座ったのを確認して先生が口を開いた。

「おはようございます。まずは新入学生の皆さんに入学式での動きを説明します」

先生が壇上にあるボタンを押すと後ろの暗幕が左右に下がり、大きなスクリーンが姿を表した。

大きなスクリーンで式の動きをひとつずつ丁寧に説明していく。

わざわざ説明のためだけにスクリーンを使うあたり、スケールの違いにびっくりさせられる。

もう驚かないようにしてたんだけどなぁ。

「てかやっぱり高校でも同じ様に入学式やるんだな」

後ろから優真が話しかけて来た。

「高校もってことは中学の入学式も同じ感じなの？」

「そうだよ。基本は起立、礼、それだけであとはほとんど話聞いてるだけだから退屈だわ」

うんざりした顔で優真は愚痴る。

「仕方ないって。終わるまで我慢しよ」

優梨が優真をなだめる。

そういう優梨も憂鬱そうな顔をしてるのが見えた。

どうやら、進学した人からしたら入学式は変わり映えのしない行事のようだ。

一通り先生の説明が終わるとスクリーンの上にまた暗幕がかかり、少しの間をおいてから在校生と保護者が体育館へと入ってきた。