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「あれ?1年てこのまま座ってて良いの?新入生入場的なことってないのかな」
入学式といえば新入生入場が真っ先に思い浮かぶのは普通だが、生徒誰一人として立ち上がったりすることがない様子に私は尋ねた。
「柏学の入学式系列は昔からこういうのが主流なんだよね。1年は楽だし、気にしなくて大丈夫だよ」
「ふうん」
さらっと優梨が簡潔に説明する。
説明しながら、どこか違う雰囲気を優梨は感じた。
「そいえばなんだか保護者人数多いね。有名人でも入って来たのかな?」
「有名人?」
「いつもなら入場はもう終わってるはずなのに、もしかしたら本当に有名人が1年にいるかもな」
2人の言葉にあった“有名人”というワードに素早く反応した。
今までの私の人生のなかで有名人とはテレビのなかでしか見たことがない。
都会に出て来たので一度でもいいから生で見て見たい、あわよくば話して見たいと思っていたのだ。
「有名人かぁ、、、会ってみたいな、、、」
「1年生として入って来たなら廊下歩いてるだけで会えるかもね!」
「氏名読み上げの時が有名人か知るチャンスだからチェックしとかなきゃな」
優梨と優真の言葉に
「あ、それは楽しみだなぁ!」
目がキラキラに輝く私を見て2人は軽く笑った。
その時、
キーンコーン!、、、
大きな音で始業のチャイムが鳴る。
先ほどまでうるさかった声が次第に静かになっていく。
満席になった体育館の全員が物音ひとつ立てなくなる。
チャイムが鳴り終わった頃には体育館の全員が静かになっていた。
それに合わせて壇上に上がっていた先生が放つ。
「これより、第49回柏ヶ丘学園、柏ヶ丘高等学校入学式を開会します!」
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