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「以上38名です。これからよろしくお願いします」
そそくさと一礼をして足早に去っていく。
恥ずかしがり屋の華村先生に大舞台は難しい様だ。
席に着くなり座りこんで俯いてしまっていた。
「あちゃー、あれはしばらく立ち直れなさそうだな」
華村先生の様子を見て優真が言う。
俯いてる華村先生がなんだか不憫に見えて仕方なかった。
そんな華村先生を気にする様子もなく教頭先生は次の項目へと移行した。
「続きまして、新入生代表による宣誓」
淡々と項目を読み上げる教頭に冷たい印象を私は抱いた。
いや、誰もがそう思ったに違いないだろう。
そんな教頭が壇上から降りると同時に、舞台袖から1人の男子生徒がマイクに向かって歩いて行った。
学生の皆と同じ紺色のブレザーに青いネクタイ。
少し細めに見えるスタイルは人並みに引き締まりすらっとした身体が強調されていた。
少し明るい茶髪をし、吊り上がった鋭い目つきにとんがったヘアスタイルから感じる強さとどこか甘い雰囲気を感じさせる表情。
優真の話では中学でとんでもないことをしたようだが、その姿からはとても不良生徒には見えない。
本当にこいつが面白いやつなのだろうか?
座席から男子生徒を穴が空くほどよく観察してみる。
あれ?あの人は、、、。
その男子生徒は私の頭の隅にいるある人物にどこか似ているような気がした。
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