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「それで、あの人の名前は?」
「あぁ、あいつの名前は」
「そこ!静かにしなさい!」
優真が名前を言おうとした瞬間、教員席にいた高木先生が2人を見ながら注意をしてきた。
教員席に座る高木先生の位置は結構遠い。
それなのに話し声が聞こえたということはおそらく高木先生の耳は地獄耳のようだ。
地獄耳とビッグボイスの持ち主とは、なんて体育会系スキルを持ち合わせてるのか。
ある意味先生になるために生まれたようなものだと感じさせられた。
「ちぇ、とりあえず静かにするか」
「だね」
優真は意地悪そうに提案をする。
ここで騒がしくしても意味はないのを理解し、ここは優真の提案に賛成してひとまず私も静かにすることにした。
静かになったのを確認してから教頭先生はどこから出したか、再びマイクで司会を続ける。
「ゴホン、それでは新入生代表の宣誓!新入生代表は、、、」
ひとつ咳払いをきて改めて次の項目に移行。
新入生代表の名前を聞いて私はやっと頭のモヤモヤが晴れた。
そして同時に忘れたくても忘れることのできない相手を思い出した。
「1年4組神月泰朋(こうづき やすとも)」
「え!?」
神月泰朋。
それは私にとって拭うことのできない昔を思い出す名前だった。
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