対立

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「そのあだ名を知ってるということは君は瀬川小学校の卒業生か?」 「そうだ。ヤスくんはお前の小学校の時に呼ばれてたあだ名だ」 思い出したように神月は頷いた。 ヤスくんとは私の出身小学校での神月のあだ名。 スポーツ万能の神月はやんちゃな子供でクラスでもリーダー的な存在だった。 確か常にクラスメイトが取り巻きのようにくっついていたのを覚えてる。 クラスの中心に常にいる人気者。 それゆえに仲良くしてる人も多く慕ってるものも多かった。 私もその1人だった、と思う。 私は純粋に仲良くしたい一心で話をしたり、一緒に遊んだりもしていた。 それが何であんなことになったのかわからない。 子供というのは小さな出来事で弱みを握り、主導権を握りたがる。 主導権を一度握ると絶対的な有利になり、子供は対象をいじるようになる。 最初は些細なもの。 教科書の隅に軽くいたずらする程度が、感情の抑制が上手く出来ないために、自覚しないうちに行為が過激になっていく。 些細なからかいから小さないたずら、そして大規模なクラス全体を巻き込むいじめへと。 学校生活ででいじめに会うとは社会性の成長途中である子供にとっては辛いもの。 ゆえに、私がそのターゲットにされた時は絶望した。
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