切望

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** 店を出て駅までの道のりを歩く。 翔太を抱えた祐輔はタクシーで帰り、雪奈はバスに乗った。 徒歩で帰るという熊が、電車に乗るあたしと紗智を送ってくれた。 「翔太大丈夫かなぁ」 紗智が後ろを振り返りながら言った。 「祐輔もいるし大丈夫だろ」 熊が煙草に火をつける。 白い煙が空に消えた。あたしはそれをぼんやりと見つめる。 終電間際の夜中、夏と言えど肌寒く、皮膚が粟だつのを感じた。 「葵、明日仕事?」 紗智が大きく伸びをして、あたしに顔を向けた。 「実は明日もお休みなんだー」 へへっと笑うと紗智がいいなぁと頬を膨らませた。 それを見た熊が、良い年して何かわいこぶってんだ、と辛辣なことを笑いながら言うもんだから、紗智は顔を真っ赤にして熊に殴りかかった。 そんなやり取りを見て、彼らのような関係なら良かったのに、と不意に胸が痛くなった。
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