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「義仁、明日仕事?」
「俺も休み」
それを聞いた紗智が、あたしだけじゃん、仕事ー!と大声で叫ぶと、今度は熊にうるせぇ、と頭を小突かれていた。
二人がとっくに別れたのは知っていた。
色々あったのも、紗智がどれだけ泣いたのかも、熊がどんなに苦しんだのかも、あたしは知っている。
それでも、昔のような仲睦まじい二人が羨ましくて。
嫌な自分と情けない自分が顔を出す。
あぁ、あたし一人だけ、全く前に進んでいないのか、と。
さっきは皆に「中谷さん」が新しい彼だと勘違いされ、おめでとう、なんて言われたけど。
あたしの中はやっぱり、朋哉で多くを占めていた。
むしろ、今日皆に久しぶりに会ったからか、彼の存在がまた近くなってしまった。
忘れかけていた気持ちがぶり返す、トモに、会いたい。
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