切望

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「紗智、顔真っ赤…」 先ほど以上に茹で蛸のような紗智は、それこそ湯気が出るんじゃないかと思わせる。 「え?ホントに?」 「…それはちょっと前に言われてたんだけど!さっき、返事、した」 「また付き合おって?」 こくん、と頭を小さく動かして頷く紗智は、恥ずかしいのか顔を両手で覆ってしまった。 「そしたら、お前俺いないと駄目だもんなって笑われて、腹立つやら恥ずかしいやらで、義仁蹴った」 「さすが熊ー!」 「でも、あっちなんだよ?紗智がいないと俺、駄目だわ、とか…言った…の…あー!恥ずかしい!」 紗智が地団駄を踏むもんだから、あたしはキョロキョロ周りを見渡した。 小さな駅の終電待ちだからか、辺りには誰もいない。 ふっと頬が緩む。素直に嬉しかった。 学生のときからもうずっと、二人がお互いを大切に思ってたのを横で見ていたから。
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