拝啓、神様へ

切望

電車の到着を告げるアナウンスの後、電車がホームに現れた。
車内は数人の乗客と、微かなアルコールの匂いがあるだけでとても静かだった。

「そういえば、熊と最近よく会ってたの？」
「あ、えっとね…」

突然歯切れの悪くなる紗智。
まぁいいじゃん！と紗智はにこっと笑った。
照れ隠しだろう、あたしはそう思い紗智に笑顔を返した。

幸せそうな紗智。
きっと紗智をこんな笑顔に出来るの熊しかいない。

そして、嬉しくなってつい熊にメールした。
おめでとう！二人が幸せであたしも嬉しいよ！羨ましい！

そんなメールを送ったすぐ後、照れくさそうな熊のメールを紗智とひとしきり笑ったところで、紗智は電車を降りていった。
一人になったが、あたしは熊とメールを続けていた。

最近、よく紗智と会っていたのか、という質問に対し、熊までもが何となく誤魔化すような返信をしてくる。
さすがにおかしいな、と思ったが、特別に思い付くような確かな原因も見当たらない。

まさか、

予感がする。はっきりとはわからないけど。
あたしは電車を降りると熊に電話した。